儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

05-07 『勇に偏った子路への評価』

現代語訳

子路しろに対してお師匠様が言われました。「もし道が世の中で行われないなら、いかだに乗り海へ出かけましょう。私についてくる人は、(子路しろ:)由ゆうでしょうか。」

子路しろが、これを聞いて喜ばれました。

お師匠様が言われました。「(子路しろ:)由ゆうよ、勇を好むことは私以上ですが、あなたは、それだけで評価できるような人物ではありません。」
登場人物
  • お師匠様 … 孔子こうし本人。名は丘きゅう、字は仲尼ちゅうじ。
  • 子路しろ … 孔子こうしの弟子。孔門十哲こうもんじってつの一人。名は由ゆう、字は季路きろ・仲由ちゅうゆう。

注記・解説

この章は、孔子こうしが子路しろの性格を評した場面です。通説によると、「いかだに乗って海へ出る」という話は、道が世に行われないことへの嘆きを込めつつも、子路しろに向けて半分冗談として語られたものとされています。行動力のある子路しろはこれを真に受けて喜びますが、孔子こうしはすぐに、彼が勇を好みすぎる点を指摘します。すなわち、勇気があってもそれが行き過ぎれば、かえって評価すべき点とはならないということです。この章は、勇だけに偏ることの危うさと、徳にはバランスが必要であることを示しています。

現代への応用(☑表示)

現代でも、行動力や勇気のある人は高く評価されがちではないでしょうか。

しかし、孔子は、子路しろの勇敢さを認めつつも、それだけでは不十分であると指摘しました。

勢いだけで行動すると、状況判断や配慮を欠き、かえって問題を招くことがあります。本当に信頼される人物になるためには、勇気に加えて、冷静さや判断力、バランスの取れた人格が求められるものではないでしょうか。

この章は、長所であっても、それに偏れば短所となるという教訓を示しています。

原文・書き下し文(☑表示)

子曰。子し曰いわく。
道不行、道みち、行おこなわず、
乘桴浮于海。桴いかだに乗のりて海うみに浮うかばん。
從我者其由與。我われに従したがう者ものは其それ由ゆうなるか。
 
子路聞之喜。子路しろ、之これを聞ききて喜よろこぶ。
 
子曰。子し曰いわく。
由也好勇過我、由ゆうや、勇ゆうを好このむこと我われに過すぎたり、
無所取材。材ざいを取とる所ところ無なし。
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