儒学のすすめ
論語 現代語訳大全

05-12 『理想を理解しても実行は難しい』

現代語訳

子貢しこうが言われました。「私は自分がされて嫌なことは、私の方でも人にしないようにしたいと思います。」

お師匠様が言われました。「(子貢しこう:)賜しよ、それはまだ、あなたには及ばない境地です。」
登場人物
  • 子貢しこう … 孔子こうしの弟子。孔門十哲こうもんじってつの一人。名は賜し。
  • お師匠様 … 孔子こうし本人。名は丘きゅう、字は仲尼ちゅうじ。

現代への応用(☑表示)

現代でも、「自分が嫌なことは人にしない」という考え方は広く知られています。

しかし、孔子は、それを口で言うだけでなく、実際に徹底して行うことの難しさを指摘しました。

感情的になったときや、利害が絡む場面では、この原則は簡単に崩れてしまいます。だからこそ、この考えは単なる理想ではなく、日々の行動の中で意識的に実践し続けるべき課題といえるのではないでしょうか。

この章は、正しいと分かっていることを、どこまで実行できるかが問われるという教えを示しています。

原文・書き下し文(☑表示)

子貢曰。子貢しこう曰いわく。
我不欲人之加諸我也、我われ人ひとの諸これを我われに加くわうることを欲ほっせざるや、
吾亦欲無加諸人。吾われも亦また諸これを人ひとに加くわうること無なからんと欲ほっす。
 
子曰。子し曰いわく。
賜也、賜しや、
非爾所及也。爾なんじの及およぶ所ところに非あらざるなり。
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